忍者ブログ
社会之底辺這う朽縄改め、社会之底辺×食物連鎖乃天辺迄÷児のBLOGサイトです。 最初の記事2つは注意事項で御座います。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



*2Pユリア(ネロ×ロゼ)







イカ墨は聞くけれども、タコ墨ってないのかなぁ?
と思いながら。
くるくるスパゲティをフォークで巻いた。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
イカ墨パスタとシュル・ドゥ・コルドゥ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
薄く白い手編みのレースのカーテンが引かれて
差し込む日差しを和らげ、リビングをやわらかく照らす。
そのやわらかく照らされたリビングは
その薄く白い手編みのレースに似合わず、
清潔ではあるが狭く、簡素なものだった。
四人掛けのダイニングテーブルには
テーブルの色に合わせた椅子が向かい合わせに2脚。
そしてその傍には人が二人通れるくらいの余裕を持たせただけで、
キッチンがL字型に配置されている。
典型的なDK+Lの一室だ。
テーブルの中央には花の代わりなのか
100円均一のカラフルな砂粒がしかれた鉢に
植わるサボテンが置いてあって、
それは自分の仕事なのだ、と園児が持つよりも
小さな黄色いゾウを模したじょうろに浄水を入れて、
小さな鉢から零さないようにサボテンに掛ける。
前にかけたのはいつだか覚えてない。
そんな自分でも育てられるだろうからとロゼが持ってきたのだ、
とぼんやりした頭で思い出した。
じょうろをレースの隙間から
ガラスの引き戸を開けてベランダへ戻す。

手がぴりりと痛んだ。

ロゼはまだ寝ているのか、それとも買い物に出かけたのか、
バイト中なのか。
そもそも今日は何日なのかよくわからない。
曜日以前に何月だったかもこの体ではわからないし、
外なんかの風景を見ればわかるのかもしれない。
太陽は高い位置で昼だった。
キンコンカーンコーンキンコーンカーンコン。
11:30の鐘(といっても町役場の放送らしい)が鳴る。
テーブルの上に食事は無いからきっと冬じゃない。
ロゼは衛生管理だとかいって常温に
二時間以上放置はいただけないことらしい。
じゃあ冷蔵庫かと思って漁ってみれば空っぽだった。
マーマーレードジャムと中濃ソースと瓶のマヨネーズと醤油、
たまごと高菜しかない。
炊飯器のコードは外れているし、トーストもなかった。
そうだ、時計を見ようと思って壁掛け時計を見る。
見た後、そう言えば鐘を聞いたと思い出す。
テレビ、テレビとリモコンをみつけて押したら
主電源が切れていたので、直接つける。
待機電源もかかるとか言ってた、はずだ。
ちょうどお昼のニュースをやっていてなんか汚職事件とかいってた。
旬の味覚とかそういうのであればいいのに、
兎に角今日は土曜日で10月で28日。
ロゼはバイトがないと言ってたような気がする。
食器棚に置かれた卓上カレンダーで見ると赤で丸が書いてあった。
グーゥとお腹が音をたてた。
そういえば最後にごはんを食べたのはいつだっけ?
ロゼに聞いてみよう、ああそういえばいないんだ。
フローリングの床は冷たいんだろうかと、寝転がってみる。
お腹すいたな。
寝てしまおうかな、そしたら次は朝かもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
ガタッ
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
頭、痛い。
ごろごろ転がっていたらドア前だったみたいだ。
 









 
 
「お帰り、ロゼ。」
「ただいま、ネロ。てかフローリングに寝転がるなって言ってンだろうが。」
「言われたっけ?」
「昨日も言ったし、一昨日も言った。
 ちなみにロゼって呼ぶなとはここ数ヶ月言ってる。」
「知らない。」
「覚えてねェんだろうがよ。オラ、とっととどけや。」
 
 
 
 



 
 
 
 
 
わき腹を軽く蹴られてそのままころころ転がってみる。
適当なところで仰向けにとまって、首を回してみる。
ロゼは(そう云えばロッソと呼ばなきゃいけないんだ)、
私に背を向けて買い物袋から材料を取り出している。
いいなぁと思って手足を投げ出して軽く目を瞑る。
ほどなくしてボトボトボトとパスタ用の長い鍋と
もうひとつ小さめの丸鍋に水を入れる音、ジャブジャブ野菜を洗う音。
玉ねぎとニンニク
(このときほど自分は吸血鬼らしくなくてよかったと思わない時はないと思う)
を刻むトントントントントンと
リズミカルなまな板とステンレス包丁の音。
あとなんか柔らかい魚介類…匂いからして生っぽいイカを捌く音がする、
上手く音に出来ない。
小さい方がわいたのかチャポンと何かを落とす、音。
パスタだからトマトの湯むき、
ロゼ(どうせ本人には聞こえないし、
私はやっぱりロッソよりロゼの方が彼に似合っていると思うし、可愛い)は
ホールトマトが嫌い、と言うわけじゃなくて缶きりが苦手で手が
痛くなるだけらしいから(開けてあげるのに)。
十字に入れた切れ目がめくれたのかトマトをボウルに上げて
流水で冷ますボウルの中で水とトマトがあたる音はシャー。
カパッと言うビンの蓋を開ける音はきっと9月に、
ベランダのプランターで育てていたバジルにオリーブオイルとニンニク、
パルメザンチーズ、松の実と黒胡椒と塩が入ったピストゥソース。
キュポと開けられた白ワインは私がイートハーヴで貰ったもの、
飲む分に残しておいて貰えるだろうか。
コンポートになるなら仕方ないけれども。
小さめの鍋をどかしてフライパンを載せる音と
ガスコンロをカチッとつける前に、つきが悪いのでチャッカマン
(zippoでつけようとして指を火傷したり、お釈迦にしていたから買ってもらった)
をつける、シュボ。
オリーブオイルが熱されたフライパンに広がってニンニクの香りが立ちのぼる。
イカと玉ねぎに塩胡椒、トマトは豪快に握りつぶしてから
トマトジュースを加えてるみたいだ。
そこにイカ墨とワインで刻んだバジル、粉末のオレガノ、タイム。
少し寝かしたピストゥソースを加えて香りが複雑になってきた。
ちょうどいいタイミングで茹で上げられたパスタはやわらかめの
ギリギリのアルデンテをフライパンのソースを絡めて。
大き目の丸く広い少し深い皿にこんもりと盛られるんだろうなぁ。
いい匂い、お腹も鳴るけど、鳴るけど…。
 
 
 
 
 


 
 
 
ゴツン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今度はドアじゃなくてスリッパの先。
 
 
 

 
 
 
「また寝てンのかオマエ。喰うきあンのかァ?」
「うん、お腹ぺこぺこ。」
「っつたく、オラ座れ。用意は出来てるから。」
「いただきまーす。」
「こう言う時は速いな、無駄に能力フル活用しやがって。」
 
 
 

 
 
名前は忘れてしまったけれど
(そもそも自分がつける訳じゃないと思うし)吸血鬼特有らしい速さで、
席に着く。
白いテーブルクロスの上のサボテンは窓際に移されていて、
真ん中には山のように盛られたパスタ皿、
には取り分け用のフォークとスプーン。
タバスコ以外に刻みパセリと賽の目切りにされた
生トマトが別の器に盛られている。
そして私の席の前にはレモンスライスと
紫と黄色の花びらが散らされたフィンガーボウル。
 
 


 
 

 
 
Lavabo inter innocentes manus meas:
 et circumdabo altare tuum, Domine.
 Ut audiam vocem laudis: et enarrem
  universa mirabilia tua.
 Domine, dilexi decorem domus tuae:
  et locum habitationis gloriae tuae.
 Ne perdas cum impiis, Deus, animam meam:
  et cum viris sanguinum citam meam.
 In quorum manibus iniquitates sunt:
  dextera eorum repleta est muneribus.
 Ego autem in innocentia mea ingressus sum:
 redime me, et miserere mei.
 Pes meus stetit in directo:
 in ecclesiis benedicam te, Domine.

 

 
 
 
 
指先だけを浸すようにして、ボウルで花びらと戯れるように洗いながら唱える。
それに続けるようにロゼが謳う。
 
 
 
 

 
 
「主よ、私は罪なき者の一人となる為に、
 私の手を洗い、そして主の祭壇のかたわらに立とう。
 主の讃美の歌を聞き、主の不思議を語らんが為に。
 主よ、私は主の家の美麗さと、御光栄の住まい給う所とを愛する。
 天主よ、私の霊魂を、不敬の人と共に、
 私の生命を血に飢える者と共に、亡ぼし給うな。
 彼らの手は、罪悪を行い、彼らの右の手は、賄賂に満ちている。
 私は清さの中を歩む。私をとき放ち、私を憐れみ給え。
 私の足は、正しい道に立っている。主よ、集会と共に主を祝し奉る。 」
 
 
 
 
 

 
 
十字を右手で切って、その手でフォークを握る。
流れる水も平気な癖に、と言ったのを覚えている。
毎回のことなのに毎回笑われる。
けれども私は変わらずやっているんだ。
ロゼはそれを見るのが楽しいのか
いつもこのボウルをしっかり用意してくれている。
山に生きていたロゼは自然宗教で私はなんだろう、
なんでもない。
なんとなく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「「いただきます。」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ロゼはとりあえず大いなる自然の恵みと
農家さんと漁師さんに感謝している、
私はそれはロゼがやってくれるので
作ってくれたロゼに感謝しているんだ!!










「セピア色の思い出は、
   イカ墨色の思い出、と云ったら殴られた。」
            (さうさう彼は浪漫主義者なのだ)










(文字書きさんへ100のお題)06 ポラロイドカメラ
             pop'n music 
                                   ネロとロゼ
                (2Pユーリとアッシュ)





PR
この記事にコメントする
HN
Title
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ [PR]


Designed by A.com
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンタ
最新コメント
[05/20 煩蔵]
[05/20 ハルヒナ]
[12/26 煩蔵]
[12/25 キネサル]
[12/24 煩蔵]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
bonkura
性別:
非公開
職業:
学生
趣味:
絵空事を文字化
自己紹介:
ごみってどこにでもいるよね。
の具現化。
よくわかる例。
ゴミ箱には捨てちゃヤです。
生ゴミの日はイヤにビクビクするんだぜ。


作者≪管理者≫はビョーキ≪好血症≫。

バーコード
ブログ内検索
ゲーム