「あまいものはだめだけれどもあまいひとはどうですか？」

2PマコKです。











籠に入れられ何駅か行った猫のように
アパートにつくまでは大人しくというか
ぐったりしていた溝口さんは
お風呂に入れようとしたら凄い暴れ出した。
ほんとうに猫みたい、と云うと水が苦手なわけじゃない、
シャワーが嫌いなんだ！！
と怒ってしまった。
お風呂は享楽的なんだ、
と今はお湯を溜めている真っ最中。
溝口さんはいい年をこいて三角座りで
顔を膝に埋めて背中を向けている。
（それが似合うのは彼が…だからか、欲目だけじゃない）

 

 

「せめて着替えようよ、
  お気に入りのカーペットが汚れちゃうんじゃない？」
「あっちいけ。」
「あっちってどっち。パジャマ出しとくから。」
「あっちはそっちだ。パジャマは冬用のを出せ。」

 

云われたとおりに黒い無地の厚手のパジャマを渡して、
そっちと言われた台所へ向かう。
惚れると尽くしちゃうタイプって診断されて、
信じられなかったんだけど、俺ってば尽くしちゃうタイプらしい。

わぁ。

こう言う時にはアレだろうか？
と思いスティックの端を鋏で切って、
大き目のマグカップに二袋入れる。
洗うのが面倒だけれども鍋で暖めた牛乳を
注いで長いスプーンで３、４回回すと甘い香りが立ち上る。

 

「ハイ、溝口さん。イライラってしてる時にはカルシウム、疲れた時には甘いもの。」

 

パジャマに着替えてもまだ三角座りで
俯くあなたに目線を合わせて、
びしぃと人差し指を立てながらホットチョコレートを渡す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、甘いものは駄目なんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

ますます、猫みたいだね溝口さん。

（まぁ猫は味覚云々じゃなくて
　テオブロミンが代謝出来ないからなんだけど）

世の中甘くないやぁ。














ねこのやうなあなた。










<擬音語で１０のお題> 01 びしいっ